職人気質の院長が治療も作製も手がける早川歯科医院の落ちない総入れ歯ブログ(入れ歯)一覧です。

落ちない総入れ歯

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吸着する入れ歯を作るためには型をうまく取ることが重要です。

しかしうまく型が取れたとしてもその後の技工作業が適切でなければその入れ歯は落ちてしまいます。

入れ歯のピンク色の材料はアクリルレジンと言います。加熱重合アクリルレジンは 重合時に必ず収縮します。

普通に手を抜かないでやった時で1ミリ前後、研磨時に綺麗になるようにモノマーを 多めにしたり、フラスコのネジを使わずプレスにまとめて2個、3個入れて圧が十分 でない場合、重合時間を守らないなどの時は2ミリぐらい開いてしまいます。これだ け歯肉との間に隙間があったら外れやすくなります。私は技工士さんと知り合いに なったときにいつも、掘り出す時に石膏との間に隙間があいていないか、と聞くので すが、みんなそんなに気にして見てないと言います。つまり隙間があいているのです。

人工歯側は隙間があってもいいですが、粘膜面に隙間があくと入れ歯は吸着しません。 こういった問題を解決するためにイボカップやDSシステムなどの重合法が考えられま したが手間がかかるのと材料費が高くなるため保険の入れ歯ではできません。
これらは射出で収縮を補おうというのですが、スプルーの部分の硬化が始まっているの に圧を加えても意味がないのと、本体の部分の収縮がそれから始まるので100パーセ ント密着している訳でもないです。
このスプルー部分を氷で冷やした装置を考えた技工士さんのことが20年ぐらい前に 「歯科技工」か「QDT」に書いてありましたが、同じような事を考えている人がいる もんです。

話を本題に戻して、下の絵は入れ歯を掘り出す時に石膏との間にできる隙間の場所です。
赤い部分が歯肉に密着していない部分です。そして落ちるのです。

 

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そこで私の考えた粘膜面に隙間ができない方法です。 色々な方法を考えましたが、一番簡単なのが分離剤を人工歯側にたっぷりと2、3回 塗り、粘膜面には薄めに塗る方法です。 もっと確実にする方法はラウンドバーで模型のポストダムの位置に2箇所アンダーカット をつければ床後縁は隙間があく事はありません。床の頰側内面は隙間があく事はないので ポストダムのところだけ密着していれば問題解決です。 DSシステムの考え方は重要で填入する餅状のタイミングと粘膜面のレジンを先に重合させ るような考えで行うことが大事です。

 黒い2箇所にラウンドバーで穴を開ける。この方法なら確実。

隙間がない、隙間は人口歯側に。

私は入れ歯を掘り出す時、このポストダムの部分の隙間がどうなのか、いつも緊張します。

先人達はこのことを知っていたのでいわゆるポストダムで模型を削ったのですが、 ダイナミック印象で最終的に完成された模型でこれをやると落ちて来ます。入れ歯の達人 と言われた人の本にもポストダムを相当削るというのが記載されていたんですがその人の 作り方を見てみないとわかりません。治療過程でこの位置の圧が弱いなと感じたらビー ディングの方がいいです。

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